「失う物、失っていく物」後編

 




こんにちは、デイケアスタッフです。

前回紹介しました、メンバーさんからの手紙の続きです。


「失う物、失っていく物」後編

私の家は 妻 娘 息子 孫2人 6人暮らしでした

妻の給料だけでは どうにもならないのは知ってはいたのですが 私は仕事より酒

寝れない日が続き 仕事など出来る状態ではありませんでした

最後には妻のサイフからお金を抜き フラフラしながら酒を買いに行っていました

その後家に戻ると 妻は私の顔を見て ハッーとため息

今思えば 本当に悪いことをしてしまったと反省しています

私はこの頃 まだ アルコール依存症という病名すら知りませんでした

私は自分のことをただのアル中だから そのうち酒も止まるものだと甘く考えていました

なぜそう思ったのかというと 私は45才くらいまで トラックの運転手だったので 酒はあまり飲めなかったのです

人生 狂う時は一時です

今では札付きの アルコール依存症です

ある日の朝 私はちょっと酒が残った状態で目が覚めると 何か家の中が変な感じがしました

やたら静か 孫の声もしない ものすごくシィーンとしている

すごくいやな予感がした

起きて 部屋の中を見渡した 何もかも無くなっていた そして誰もいない

残っていたのは俺のリュックサック1つ

思わず涙が出た

取り返しのつかないことをしてしまった

一番大好きだった家族だったのに

失う物は大きすぎた

(おわり)


以上が、メンバーさんからの手紙です。

依存症によって失ったものの大きさと、その時の気持ちが伝わる内容でした。


先生からも感想をいただいています。

【滑川先生の言葉】

「人生のストーリーを自ら書き綴る力をアルコールによって奪われてしまったメンバーさん。今、それを取り戻そうと必死になっておられる姿は、とても素晴らしい。スタッフ一同、人生を取り戻すお手伝いをさせて頂いております。」

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